このAFR計算機(空燃比計算機)は、燃料と空気の質量比である空燃比(Air-Fuel Ratio)を簡単に求めるためのツールです。化学量論的な完全燃焼の空燃比から、実際に供給される混合気の空燃比、および当量比(λ)までを一度に計算できます。燃焼化学、エンジン工学、実験室の燃焼実験に関わる学生や研究者、エンジネアにとって便利な支援ツールです。
入力欄には燃料の種類(ガソリン、軽油、メタノール、エタノール、水素、またはカスタム組成)、燃料質量、空気質量を指定します。計算結果には理論空燃比、実空燃比、当量比、過剰空気率が表示され、ステップごとの計算式も確認できます。化学反応の基礎やストイキオメトリを視覚的に理解する学習用途にも適しています。
🔧 燃料と空気の条件を入力
📊 計算結果
計算式と理論的背景
空燃比(AFR: Air-Fuel Ratio)は、燃焼時に供給される空気の質量を燃料の質量で割った無次元量です。理論空燃比は、燃料中の炭素(C)と水素(H)が完全に二酸化炭素(CO₂)と水(H₂O)になるために必要な化学量論的酸素量から求められます。炭素1gの完全燃焼には 32/12 ≈ 2.667 g のO₂が、水素1gには 16/2 = 8 g のO₂が必要です。燃料中に酸素含有分(例:メタノールのO)がある場合は、その分を外部酸素需要から差し引きます。空気は質量比で約23.2%が酸素であるため、必要空気質量は酸素需要量を0.232で割ることで得られ、これが理論空燃比となります。
参考データ:主要燃料の理論空燃比
| 燃料 | 主成分 | 理論空燃比 (質量比) |
|---|---|---|
| ガソリン | C8H18近似 | 約14.7 |
| 軽油 | C12H23近似 | 約14.5 |
| メタノール | CH3OH | 約6.5 |
| エタノール | C2H5OH | 約9.0 |
| 水素 | H2 | 約34.3 |
これらの値は燃料の精密な組成により数%変動します。バイオ燃料など組成が不安定な場合はカスタム入力を用いてください。また、実際の大気は湿度により酸素濃度が変化するため、厳密な値は現場計測に依存します。
計算例:ガソリン100gへの空気1450g供給
燃料質量 100 g、空気質量 1450 g の場合、実空燃比 = 1450 / 100 = 14.5。ガソリンの理論空燃比を14.7とすると、λ = 14.5 / 14.7 = 0.986(わずかに濃い混合気)。過剰空気率 = (14.5 - 14.7)/14.7 × 100 = -1.4%(空気不足)。このように本ツールは実測値と理論値のずれを定量的に把握できます。さらに燃料を200g、空気を2940gとした場合は実AFR=14.7となりλ=1.000、理論混合比ちょうどであることが確認できます。
実務での活用シーン
自動車のエンジン開発では、排ガス規制対応のためにλを1前後に制御します。実験室の燃焼分析では、供給ガス流量から空燃比を逆算し反応の完結度を評価します。また、化学プラントの安全管理においても、可燃限界との関係から適切な希釈空気量を決める目安になります。学習者は 収率計算機 と併用することで、反応効率の全体像をつかみやすくなります。暖房器具の燃焼調整や、非常用発電機の燃料設計でも本計算機は役立ちます。
精度に影響する要因と注意点
本計算機は乾燥空気(O₂=23.2%)を前提としています。湿度が高い環境では酸素濃度が下がり、実際の理論空燃比は若干大きくなります。また、燃料中の硫黄や不純物、および不完全燃焼(COや未燃炭化水素の発生)は考慮されていません。厳密な計測が必要な場合は工業規格に基づく分析を別途行ってください。さらに、点火時の局所的混合むらは本ツールの全体平均値では検出できません。
よくある質問
Q: メタノールの空燃比がガソリンより小さいのはなぜ?
A: メタノール分子内に酸素原子を含むため、外部からの酸素供給が少なくて済むからです。その分、同じ質量の燃料に対して必要な空気が減り、理論AFRが約6.5と小さくなります。
Q: 過剰空気率がマイナスでも燃焼しますか?
A: 理論値未満の空気では不完全燃焼になりますが、実用上は点火・燃焼自体は可能です。ただしCOやすすが増加し効率が低下します。ディーゼル機関は常に過剰空気率が正の領域で運転されます。
Q: 水素の空燃比が大きい理由は?
A: 水素は質量あたりの発熱量が極めて大きく、かつ反応に多くの酸素を要するため、重量基準では大量の空気を必要とします。体積基準では異なる傾向を示します。